〇レオナルド モメントゼロ ブルーアビス万年筆について レオナルド（正式にはレオナルド オフィチーナ イタリアーナ（レオナルドイタリア工房とでも訳すのでしょうか？））は、創設者サルバトーレ・マトローネが2018年にナポリ近郊の都市、ガゼルタで立ち上げたブランドです。彼の父は、「デルタ」創業メンバーの一人、チロ・マトローネで、彼自身もデルタの商品デザインに関わった経歴があるそうです。したがって、レオナルドブランドの背景には、父から子へと受け継がれた技術とノウハウ、長年の経験と伝統が息づいていると言われます。レジン素材を生かした削り出しの製法へのこだわりや、車輪を組み込んだローリングウィールクリップなどは、まさにデルタの遺伝子とも言えるでしょう。 モメントゼロ（ゼロの瞬間）シリーズは、「ゼロからのスタート」として新しく何かを始めたい、あるいは「時を止める美しさ」のペンを作りたいという気持ちから生まれたコレクションで、ブランドのファーストモデルでもあります。まさに、新興レオナルドを象徴し、その将来を担う死活的に重要な基幹製品、フラッグシップモデルです。イタリアン・ビンテージにインスパイアされた、サイズも金属のディテールもバランスのとれたモデルと説明されています。 このシリーズには、日本の一般の文具店では流通しない様々な美しい限定品もありますが、このブルーアビス（青い深淵...とでも訳すのでしょうか？）もその一つで、限定本数は僅か１００本という特別なペンで、もちろん、シリアルナンバー付きです（胴軸中央部にレオナルド オフィチーナ イタリアーナとイタリア語で刻印された隣に○○／１００と刻印されています。画像８参照。シリアルナンバーは隠しています。）。 最大の特徴は、その美しいセルロイド軸です。一見黒色にも見える深い濃紺をベースとして、水色や灰白色のパールの筋模様が複雑に絡み、煌めいています。深淵なる青、水底の世界を表現したものと言われます。華やかさに欠けるように見えますが、実はなかなかに複雑で深みのある美しい軸なのです。ペンの模様には個体差が当然あります。他の軸と比較したことはありませんが、このペンにはよくパールが入っており、軸を回転させたり、角度を変えて見ると、複雑、重層的に輝きます。素晴らしい出来だと思います（もちろん、個人の感想です。）。 モメントゼロには標準サイズだけではなく、軸によっては一回り大きいグランデもありますが、このペンは標準サイズです（長さ：約142mm（収納時）/ 約168mm（筆記時）胴軸径最大：約14mmキャップ径最大：約15mm重さ：約26g）。ニブは、１４Ｋで ゴールドトリムです。ペン芯はエボナイト製です。 ピストン吸入式であることも大きなアピールポイントですが、インク窓はありません。 尻軸と天冠は円錐形になっています。なお、キャップ端のデザインは、バンド２本です（最近のモメントゼロコレクションでは、３本に変更されているようです。）。 
〇 ペンの状態
 新品を購入し、インクを吸入した際の書き味を確認したく、一度だけインクを吸入して筆記後、すぐに洗浄、保管してきましたので、自分としては新品同様と評価してもおかしくないと思っています。ただし、手袋をはめて使用したりはしておりませんので、セルロイドは柔らかいので、日常使用に伴うスレ等はあり得ます。あくまでも品とご理解いただき、新品未使用をお求めの方はご遠慮下さい。 ニブは、入手後未調整ですが、滑らかに筆記できます。ニブの太さは、Ｆですが、日本標準のＭよりやや細い程度だと思います。今回、筆記線の太さを見てもらうべく、改めて付けペンにて筆記してみました。アウロラ８８・１８Ｋ（Ｆ）、パイロット８４５・１５号ニブ１８Ｋ（Ｍ）、セーラープロフィットレアロ大型２１Ｋ（Ｍ）と比較したものが画像９枚目です。紙は、パイロット萬年筆用箋、インクは、アッカーマン「深い水底の青」です。 箱、モメントゼロコレクションの冊子（この冊子の最初にこのブルーアビスが掲載されており、相当力の入ったモデルであることがうかがわれます。）、販売店からのセルロイド製のペンについての注意書き・チェックシート、ボトルインク（黒色）といった、購入時の一式が全て付属します。ただし、黒い紙製の外箱には、少し切れ目が付いているところがあります。また、箱の上蓋には、購入当初からと思われますが、若干の凹みのようなものがあります。   〇 価格など  日本での新品の販売定価は、１０万円（消費税込みで１１万円）でしたが、２割引き程度で入手可能であったと思います。開始価格は、定価の半額で５万円といたしました。送料は当方で負担いたします。今後、入手困難が予想される、大変、レアといっていいペンですし、円安もあって今後の入手は割高になるおそれもあります。そうした中で、魅力的と思っていただける価格設定とした積りです。  なお、軸の模様は、１本１本違います。入手されてやはり気に入らなかったのでキャンセルすると言われましても、当方も応じかねますので、そのようなことのないよう、よく画像をご参照の上、ご検討いただければと存じます。  ペン本数の総量規制の方針の下、手持ちのセルロイド軸も絞ることとなりました。同じような模様である、モンテグラッパのセルロイド軸を手元に残すこととし、このペンはお嫁に出すこととなった次第です。大変美しい軸です。愛でていただければ幸いです。